温熱治療(ハイパーサーミア)とは

温熱治療は身体を温めることによって病気を治療する方法です。古くはヒポクラテスの時代より知られている治療であり、日本では湯治などの温泉療法も広い意味で温熱治療と言えます。
がん治療においては、がん組織を高熱で焼いてしまうラジオ波焼灼術と、40-42度の低温域で温める電磁波温熱療法があります。当院ではサーモトロンRF8(山本ビニター製)を用いた電磁波温熱療法を実施しています。

温熱治療(ハイパーサーミア)の方法

電磁波温熱治療では温めたい領域を治療装置で挟み、8MHzの電磁波(ラジオ波) を流します。電子レンジと同じ原理で温めることができるため、深部のがん組織とその周囲を温めることができます。がん組織は温度が上がっても血管の拡張が起こらず熱がこもりやすいという性質を持っており、このためがん組織は周囲の正常組織より温度が上昇しやすく、熱による細胞障害を受けやすいことが知られています。

また、サーモトロンは体表を冷やしながら治療を行うため、火傷をつくることなく安全に治療を行うことができます。

がん組織が温まりやすく冷めにくい性質を利用して治療を行います

基本的に週1回のペースで所要時間は約40分です。

温熱治療のメリット

  • ■ さまざまな治療との併用で、より一層の効果が期待できます。
  • ■ 身体を温めることにより、特殊なタンパク質が産生され、抗がん剤の作用を高め、副作用を抑えてくれます。

併用療法としての温熱治療

温熱治療だけでも標的とするがん病巣が小さくなることもありますが、多くの場合単独では十分な効果は得られません。一方でほかの治療法と組み合わせることで相乗効果が期待できる治療です。当院では化学療法や抗癌剤治療との併用療法として温熱治療を活用しています。

抗癌剤と温熱治療

温熱治療には抗癌剤の効果を高め、抗癌剤の副作用を和らげる効果があります。抗癌剤治療のスケジュールに合わせて温熱治療を導入することで、抗癌剤治療を楽に続けられるようになることが期待できます。

他病院で化学療法をされている方には、そのスケジュールに合わせて治療計画を立てます。また、ある種の抗癌剤は温熱治療を併用すると効果が高くなるため、当院では低用量での抗癌剤点滴と温熱治療を組み合せた治療も行っています。

動脈塞栓術と温熱治療

温熱治療はがん組織の温度が上昇しても腫瘍血管が拡張せず、周囲の組織よりもがん組織内の熱が逃げにくい性質を利用した治療です。しかし、血流の豊富ながん組織では、サーモトロンで温めても、がん組織が冷やされてしまい治療効果を得られる温度にまで中々温めることができません。

動脈塞栓術と併用すると腫瘍内の血流が減り、腫瘍内温度を効率良く高めることができる上、塞栓により腫瘍内の環境が変わるため、温熱感受性が高くなります。
動脈塞栓術での抗がん剤も熱により薬効が高められ、相乗効果が期待できます。

免疫治療と温熱治療

私たちの体には癌にならない仕組みとして「免疫」あります。しかし、がん細胞には「免疫」からの攻撃を避けるため、様々な免疫逃避機構があります。温熱治療は、癌細胞の免疫逃避の仕組みを減弱させる効果があるといわれています。また、温熱刺激により免疫細胞が活性化させ、癌細胞を攻撃しやすくなります。

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